小説(萌えぷら愛の小説)
はじめに・・・
これは設定として新・天地無用!の設定、つまり天地が東京に行っている時の話
だと思って見てくださいね。
(今になって読んでみると恥ずかしいぐらい下手ですが・・・)



朝…
砂沙美はいつもどおり一人早起きをして、朝食を作っていた。
まだ、柾木家からは台所からの野菜を切る音や、お鍋が煮える音しか聞こえない。
阿重霞や魎呼たちはまだ夢の中。天地は4月に東京へ行ってしまい岡山にはもういない。
外では朝日をうけて、とりが鳴いている。
すべてがいつもどおりと思える朝だが、砂沙美の心の中だけはいつもと何かが違っていた。
何が違っているのか、それは砂沙美本人にも分からない。しかし、その何かは確実に砂沙美を
安心させ、心の中の悩みを取り除いてくれるものだった。

そう、それは昨日のことである。

柾木家では昼食をみんなで採り終えて、砂沙美はいつもどおり食器を洗っていた。
いつもなら元気よく鼻歌でも歌いながら楽しそうに食器を洗う砂沙美だったが、この所砂沙美は
少し元気がなかった。
砂沙美は最近、一つの悩みを持っていた。それは砂沙美の仕事である家事に
ついてである。以前までよく家事を手伝っていた天地はもういない。魎呼は家事なんて
手伝ってくれない。阿重霞も天地がまだ岡山にいた頃はよく手伝っていたが、
東京に行ってからは毎日毎日、天地のことばかり考えて、まったく手伝わなくなってしまった。
要するに炊事、洗濯、掃除など、すべてのことを砂沙美は
一人でやらなくてはならなくなったのである。砂沙美にとって炊事、洗濯、掃除などは
好きなことであり、決して嫌な訳ではなかった。
だが最近、こんな生活に少しコンプレックスを抱いていた。
砂沙美はみんなからどのように思われているのか知りたかったのだ。
ただの家事手伝いのように思われているのではないかと…。
天地がいなくなって、みんなの態度がちょっと変わった。
砂沙美はそんな事を思っていたのだった。
もちろん一番気になっていたのは実の姉である阿重霞からどう思われているかだった。
そんなこと心配しなくても大丈夫だと分かっていても、最近の阿重霞を見ているとそう
思わずにはいられないのだ。いつもいつも「天地様〜。」と天地のことばかり考えていて、
何も手伝わない。昔は砂沙美と一緒に買い物に行ったりしたが、最近はめったに行かない。
砂沙美に対して冷たくなった、別にそうではないのだが
砂沙美はそんな思い違いをしているのだ。
「手伝ってくれていたのは天地兄ちゃんがいたからなのかな〜。」
「お姉さまは砂沙美のことどう思っているのかな〜。」
こういう時はすべてを悪いほうにとらえてしまうのである。
そんなことを考えながら砂沙美は台所に立っていた。

食器を洗え終えると、砂沙美はやっと自分の時間が過ごせるのであった。
朝起きてから朝食作り、食器洗い、洗濯、掃除をして、また台所に立って昼食を作り
食器を洗い終えてやっと砂沙美は一日の仕事の半分を終えるのであった。
まったく尊敬すべき8歳の主婦である。
エプロンをはずし、部屋から少女マンガをとって来る。居間のソファーに座りながら
読もうとしたのだが、やはりあの事が気になり、進まないページをボーッと見つめていた。
砂沙美はいつの間にかソファーの上で眠りについていた。

砂沙美が起きた時には高かった太陽がだいぶ低くなっていた。
「いっけない! 買い物に行かないと。」
そこへ魎皇鬼がやってくる。
「みゃぁ〜みゃぁ〜。」
「あっ、魎ちゃん! 一緒に買い物いく?」
「みゃぁ!」
魎皇鬼は砂沙美とこのような会話をしたあと、いつもの定位置である砂沙美の頭の上にのった。
魎皇鬼にとってこの場所は安らぐ場所でもあり、大好きな場所なのだ。
砂沙美はあたりを見渡したが、柾木家の中は深夜のように静まり返っていた。
日本の悪い大蔵省とは天と地の差である柾木家の大蔵省は誰にも行き先を伝えず、
買い物かごを持って、家を飛び出した。

毎日の買い物とは砂沙美にとって楽しみなものだった。
やはり、柾木家のちいさな主婦も夕食は何にしようかと考えることが好きなのだ。
「魎ちゃん、今日は何にしようか?」砂沙美が言う。
「みゃぁ〜みゃぁ〜みゃぁ〜。」
「ダ〜メ! ニンジンは昨日やったでしょ。」
「みゃう〜。」
そんな会話を交わしながら、店へと続く道を太陽に背を向けながら歩いて行った。

「おっ! 砂沙美ちゃん。」
「こんにちは、おじさん。」
「今日も一人で買い物かい? えらいねぇ〜。」
「えへへ、でも魎ちゃんも一緒だから。」
この町で砂沙美はみんなの人気者だった。まあ、8歳にして一人で毎日のように
買い物に来ているのだからその評判はすごいものである。
「今日はこれがお買い得だよ。新鮮だし、安いしね。」
「う〜ん。」砂沙美は瞬時にそれを使った今日の献立を考える。
まさしく、主婦そのものである。
「じゃあ、それください!」今日の献立が決まったようである。
「あいよ!」
「え〜しめて…一千万円。」
「うふふ…もぅ〜おじさんったら。」
「ハッハッハッ…。」
会話の中に軽い冗談も入る。
「はい。」
「はい、これはおまけね。」
「わぁー! ありがとう、おじさん!」
「毎度あり!!」
町の商店街を一通りまわり、砂沙美たちは夕食の材料を買い終えた。
「さぁ帰ろうか、魎ちゃん。」
「みゃぁ〜。」
砂沙美たちは来た道を戻り始めた。目の前には山ぎわに近づいた太陽が
真っ赤になって燃えていた。
ひたすら歩きつづける。二人に沈黙の時が続いた。
静かになると砂沙美は例の事を考えてしまうのだった。
町から少し離れた時、その沈黙を破ったのは砂沙美だった。
砂沙美は魎皇鬼にその心の中の悩みを話し始めた。
「ねぇ、魎ちゃん。魎ちゃんは砂沙美のことどう思う?」
「みゃぁ?」
魎皇鬼は砂沙美の質問の意味が良く分からなかったようである。
「砂沙美はみんなからどんな風に思われているのかな?」
「お姉さまは砂沙美のこと、どう思っているのかな。」
砂沙美の声はだんだんゆっくりとまた小さくなっていった。
歩くスピードもゆっくりになり、そのまま立ち止まってしまった。
砂沙美の隣で一緒に歩いていた魎皇鬼も砂沙美に合わせて立ち止まった。
魎皇鬼はちらっと砂沙美の方を見た。
砂沙美の目は真っ赤になっていた。
ただ、それが夕日のせいなのか泣いているのかどうかは分からなかったが、
砂沙美に元気がないことは確かだ。
そんな砂沙美を励ますかのように、魎皇鬼は砂沙美のまわりをぐるぐる回り、
砂沙美にとびのった。
「にゃぁ〜!」
魎皇鬼は砂沙美にそう言葉を投げかけた。
「…ありがとうね、魎ちゃん。」砂沙美に少し笑顔に戻った。
魎皇鬼も笑顔の砂沙美が一番好きなのだ。魎皇鬼も微笑む。
だが、砂沙美の心の中はまだ晴れた訳ではない。しかし、砂沙美は無理に
笑顔を保つのであった。
しかし、砂沙美は次の瞬間、とんでもない出来事を体験することになる。

突然、砂沙美たちの背後から車のエンジンの音が聞こえてきた。
「みゃ!」
魎皇鬼がそう叫ぶのを聞き、砂沙美は後ろを振り返る。
車がこっちに向かってくる。
しかも、その車はくねくねと蛇行しながら砂沙美たちの方に走ってくる。
どうやら運転手は酔っ払っているようである。
そう思ったのもつかの間、車は砂沙美たちの方に襲いかかるようにスピードを上げてきた。
「きゃあああ!!」
砂沙美は思わず悲鳴をあげた。その悲鳴でやっと運転手は砂沙美たちに気づいたようである。
「はっ! 危ない!!」
運転手はブレーキを踏んだ。
「きぃぃぃぃぃぃぃっっっーーーーーー!!」
ブレーキがうなり声をあげた。
しかし、気づいたのが遅すぎた。間に合わない…。
絶体絶命であるかのように思われた。
しかし次の瞬間、魎皇鬼が砂沙美を道から押し出すように飛びかかった。
それにつられて砂沙美は倒れこむように道から出る。
しかし、道の横は坂、その下には青々とした田んぼが広がっている。
「きゃあぁぁ…。」砂沙美は坂を転げ落ちた。しかし、最悪の状況がさらに
砂沙美に襲いかかったのだ。


砂沙美は頭に強い衝撃をうけた。転がり落ちた場所に大きな石があったのである。
砂沙美はその石に頭をぶつけてしまったのだ。
「ぐっ…うう……。」
そのころ、坂の上では急ブレーキを踏んでやっと停車していた車の中から運転手が出て来て、
びくびく足を震わせながら、坂の下の状況を見ている。
「あ………あわ………。」
「ひいっ!」
運転手は小声でそのような音を発しながら、急いで車を走らせその場を去ってしまった。
「みゃみゃみゃ〜!」「みゃぁ〜みゃぁ〜!!」
魎皇鬼は砂沙美の腕に手を当てて懸命に揺さぶるが、砂沙美の意識はだんだん遠のいていく。
「うう……………。」
砂沙美はそのまま意識を失ってしまったのである。

…………………………………次に砂沙美の目が開いたのはそれから何時間も
たったあとのことでだった。外は暗く、夜はだいぶ更けていた。


砂沙美は自分の部屋のベッドの上にいた。
すぐにに砂沙美の目にとまったのは魎皇鬼だった。
(「魎ちゃん?」)
「みゃ!」
何がなんだかまったく分からない。
思い出そうとするが思い出せない。
(「あれ? 確か買い物に行っていて…あれ…?」)
砂沙美はふと、反対の方を見た。
(「お姉さま!?」)
そこにはベットに寄り添って、阿重霞が眠っていた。
「やっと目が覚めたようね。」
部屋のふすまが開き、そこには鷲羽がいた。
魎皇鬼の声が鷲羽を呼んだのだろう。
「鷲羽お姉ちゃん。砂沙美…。」
「魎皇鬼がねえ、私たちの所に知らせてくれたんだよ。砂沙美ちゃんが頭をうって、
気絶しているってことを。」
砂沙美は自分が気絶していたことをはじめて知った。
「魎ちゃん、ありがとう。」
「みゃぁ!」
まだいまいち何がなんだか分からない砂沙美であったがとりあえず、自分を助けてくれた
魎皇鬼にお礼を言う。
「大変だったねえ、砂沙美ちゃん。」それにしても魎呼ったら、いつまで探しているんだろうね。
砂沙美を坂から落としやがった奴をさがす…なんて言っちゃってまだ帰ってこないんだよ。」
砂沙美はやっと自分がどうなっていたのかを理解したようだった。
車に跳ねられそうになったことも、その後に坂から落ちて頭を打ったことも…。
「けがの方は全然たいした事ないよ。ちょっと強く頭をぶつけただけ。
「この鷲羽ちゃん特製ぬり薬もぬっておいたからもう大丈夫。」
「ありがとう鷲羽お姉ちゃん。」
「礼なら阿重霞殿に言っとくれ。」
砂沙美はもう一度阿重霞の方に目をやる。
「ほんのさっきまで起きていたのにねえ〜、阿重霞殿。」
「阿重霞殿が砂沙美ちゃんをここまで運んでくれたんだよ。」
「心配してたよ。砂沙美にもしものことがあったら〜ってね。」
「この鷲羽ちゃんが大丈夫だって言ってるのにねえ〜。」
鷲羽は少し笑顔を浮かべて話した。
「やさしいお姉ちゃんだね。」
「お姉さま…。」
砂沙美の目は真っ赤になっていた。
鷲羽はそう言いながら砂沙美のそばまでやってきた。
「阿重霞殿にとって砂沙美ちゃんはたった一人の大事な妹なんだから。
そんな、阿重霞殿が砂沙美ちゃんのこと嫌いな訳ないでしょ。砂沙美ちゃんの考え過ぎだよ。」
鷲羽は砂沙美が悩んでいたことをすべて知っているように話した。
「そんなこと考えていたから罰があたったんだよ。」
笑いながら鷲羽はそう言った。しかし次の瞬間、鷲羽はまじめな顔をして、
「ごめんね。魎呼たちが何もできないからって家事全部押し付けちゃって。
でもね、私もみんなも本当に砂沙美ちゃんに感謝しているんだよ。ありがとう…。」
砂沙美の目は今にも零れ落ちそうなぐらいの涙でいっぱいになっていた。
横で疲れきって寝ている阿重霞や鷲羽の言葉を聞き、今まで悩んでいたものが
すべて吹き飛んで、我慢していたものが一気に開放されたようであった。
それと同時に砂沙美は少しでも自分の姉たちを疑った自分が恥ずかしく、また
腹立たしくなった。
砂沙美は頭からふとんをかぶった。
鷲羽から見たそのふとんは小さく震えていた。
状況を理解した鷲羽は、「もう遅いから寝よう、ね!」と言いながら
部屋を出ていった。
「魎皇鬼!」
鷲羽が魎皇鬼を呼ぶ。
「みゃぁ〜。」
魎皇鬼も部屋から出て、砂沙美の部屋のふすまが閉められた。
その時、魎呼が帰ってきた。
そう、あの運転手を探しに行っていた魎呼である。
「…ったくぅー、どこのどいつだ!」
魎呼はそう言いながら砂沙美の部屋の方に近づいてくる。
「しぃっーーー!!」
「目が覚めたのか、砂沙美!」
「ああ、でも今はそっとしておいておやり。」
鷲羽はそう小声で言った。
「お前も案外やさしい所あるんだねぇ。」
「べ、べつにそんなつもりじゃあ…。でも、その運転手だけはとっ捕まえねぇとな。
ったく、これから飯が食えなくなる所だったじゃね〜か。」
魎呼はあとから言い訳をするかのようにその言葉を付け加えた。
鷲羽が笑う。
「さあ、お前ももう寝な。」
「ああ…。」
この会話を最後に二人+一匹はそれぞれの部屋に帰っていった。
砂沙美の部屋の中にはベッドの上で頭からふとんをかぶっている砂沙美と
そのベッドの横にもたれかかっている阿重霞だけである。
「ごめんなさい……。お姉さま……。ありがとう…。お姉さま…。」
砂沙美の小さな声が部屋中に響き渡った。
眠っている阿重霞が少し笑ったように思えた。


一晩たってその次の朝、
砂沙美はいつもどおり一人早起きをして、朝食を作っていた。
まだ、柾木家からは野菜を切る音や、お鍋が煮える音しか聞こえない。
阿重霞や魎呼たちはまだ夢の中。天地は4月に東京へ行ってしまい岡山にはもういない。
外では朝日をうけて、とりが鳴いている。
すべてがいつもどおりと思える朝だが砂沙美の心の中だけはいつもと何かが違っていた。
何が違っているのかは砂沙美本人にも分からない。でも、その何かは確実に砂沙美を
安心させ、心の中の悩みを取り除いてくれるものだった。

いつもどおりの朝、砂沙美はそれをとてもすがすがしく感じていた。


(おわり)

なお、あの車の運転手は今日のお昼にあやまりに来ることになるが…それはまた、別の話…。


作者から一言・・・
どうでしたか? 実ははじめて書いた小説なんです。
でも、皆さんはこういうことで悩む事ってないですか? 私はありますよ!
いつも元気な砂沙美ちゃん、無邪気な砂沙美ちゃんがもし、こういうような悩みをもったら・・・
という感じで書いてみました。

是非、感想をお聞かせください!
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